基本的には夏服です 情景などを思い浮かべて読むでもらうとありがたいです。 【BGM:東風】 週末の午後。 俺とオッサンは古河パンで店番をしていた。 渚と早苗さんは夕食の買出しに出かけている。 何でも今日はトンカツにするらしく、張り切って出かけていった。 秋生「ふぁぁぁぁ。相変わらず暇だな」  オッサンが大きなあくびをしてレジのそばの椅子に座り込む。 朋也「さっきから客が来てもちっとも動いてねけじゃねえか」 秋生「接客をしてると疲れるんだよ」  接客も何もさっきまでそこで寝ていたくせに… 秋生「はぁ…しかし暇で死にそうだな」  そう言ってオッサンは椅子に寄りかかる。 汐「ねぇ、あっきー。あそぼー」  店の奥から汐がやってきてオッサンに擦り付く。 秋生「おう、かわいい汐の頼みならしょうがねぇな」  そう言うやいなやオッサンは店の奥から野球道具を取り出してきた。 秋生「そういうわけでちゃんと店番してろよ」 朋也「ちょっとまて。俺を置いていく気か?」 秋生「当たり前だろ。汐は俺と遊びたがってるんだからな。    お前はちゃんと店番しとけよ。」 朋也「お、おい!」  俺が店を出て外を見たときにはオッサンはいなくなっていた。 朋也「まじかよ…」  店の前で俺は一人残された。 朋也「はぁ…仕方がないな」  ため息を一つついて俺は店の中に戻った。 【BGM:白詰草】 ―――小一時間後 渚「ただいまかえりました」  元気な声で渚と早苗さんが帰ってきた。  二人の両手には『古河パン』と書かれたバッグにたくさんの食材が詰められていた。 渚「えへへ、ちょっと買いすぎちゃいました」 早苗「やっぱり親子で買い物に行くのはいいですね」 朋也「二人ともご苦労様です。    あ、俺、荷物持ちますよ」  二人の手にある荷物を受け取る。  と、同時に両手にずしっと重さがのしかかる 朋也「うお、重!」  仕事でそれなりに力がついているはずなのにものすごく重く感じる。 朋也「さすがにこれは買いすぎだろ…」  荷物を台所においてくると俺は再び店番に戻った。  台所からはまな板の上で包丁を使っているというトントンという音と渚のあの歌が聞こえてきた。 渚「だんご、だんご」  はぁ…平和だな 渚「あれ、朋也くん。そういえばお父さんは?」  しばらくしてから渚も店のほうにおりてきた。 朋也「汐と野球しに行った」  と、話していると店のドアが開いて人影が入ってきた。 朋也・渚「いらっしゃいませ」  条件反射で言った二人の声がピッタリと重なった。 秋生「おう、今帰ったぜ」  オッサンだった。 朋也「今帰ったじゃねえだろ」 秋生「細かいことは気にするな。    細かいことを気にすると男のものが取れちまうぞ」  さらりとすごいことを言ったぞ、この人。 汐「…えっと、ママ。こまかいこときにしたらなにがとれちゃうの?」 渚「ええっと?朋也くん、どうなんですか?」 朋也「取れるわけないだろ」 渚「そうですよね。えへへ。   ってお父さん、しおちゃんに変なこと教えたらダメです」  …やっぱりアホな子だ。  でも俺はそんなかわいいこいつと結婚したんだからな。  そうだ、こいつは本当はかわいいんだ。  うん、きっとそうなんだな。  無理やり自分を納得させて再び元の場所に座った。 秋生「まぁ、何だな。    そういえばお前はまだ子供作る気でいるのか?」  いきなり唐突な質問だな 秋生「おまえ、ちょっと前の日に渚とプロレスごっこしてたんだって?」 朋也「え、いや、その」 秋生「で、ちゃんと渚を満足させてんだろうな?」 朋也「え、そ、それは」 【BGM:無間】 秋生「お前まさか本当にダメになっちまったんじゃねぇだろうな?!」  すごい誤解っぷりだ。 【BGM:存在】 秋生「そうか…じゃあ仕方ないな。    渚、お前も大変な婿に迎えられたもんだな」  はぁ…まあ渚なら誤解を解いてくれるはず。 渚「はい、毎日大変です」  そうだった。  こいつはそういう子だった。 秋生「お前も大変だな」  俺に肩にポンと手を置いてオッサンはため息をついた。  絶対に勘違いしている。 秋生「よし、エロ本もって帰れ」 【BGM:ダム】 汐「ねぇ、あっきー。   えろほんってなに?」 渚「しおちゃんは知らなくていいんです   それよりお父さん。また朋也くんにそんな本あげようとしたんですか」 秋生「しまったーーーーーー!!!」  何やってんだよ、オッサン。 渚「そんな本、早く全部捨てちゃってください」 秋生「渚、好きだ」 渚「誤魔化してもダメです」 朋也「渚、好きだぞ」  オッサンからの視線がびしびしとつたわってくる。 渚「ありがとうございます。   私も朋也くんのこと大好き…。   ってまた誤魔化されました」  やっぱりアホな子だ。 【BGM:白詰草】  っと、それよりこの誤解は解いておかなければ。 朋也「あのな…オッサン」 秋生「あ?」 朋也「何年か前にも言ったが俺はいたって正常だぞ」 秋生「なにぃ?だってさっき渚が『大変だ』って言ってたじゃねぇか」 渚「あ、はい。朋也くん、いつも私に汐をまかせっきりですから」 朋也「仕方ないだろ、仕事場から帰るのそっちのほうが早いんだから」 秋生「………    おい、小僧」 朋也「んあ?」 秋生「やっぱりお前にはやらねぇ」  やるも何も俺は何も言っていないが。 秋生「それより、今日は家で飯食っていくんだろうな」 朋也「ああ、もちろん」 秋生「変な遠慮とかするよな。    俺たちは家族なんだからな」 【BGM:空に光る】  家族。  そうだよな。  何気ない幸せも。  ここにいる渚や汐、俺やオッサンに早苗さん。  みんな元は家族がいて、子供が生まれ、その子供が出会いを重ね、また子供が生まれる。  偶然に偶然が重なり、今ここに幸せがある。 早苗「みなさーん。お食事できましたよ」  奥から早苗さんの声が聞こえる。 渚「さぁ、夕食にしましょう。   今日はトンカツですよ」 汐「わーい、とんかつだいすき」  汐は一目散に店の奥に走っていった。 渚「さあ、二人とも」 朋也・秋生「ああ」  俺たちも汐の後を追って店の奥へ進んだ。  かなり脳内BGMの変更になっちゃいましてすみません…  まだまだ詰があまい文章です…